アートのある暮らし

アートフェア東京2019を10倍楽しむ『お金』の話

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こんにちは、インテリアコーディネーターの住吉さやかです。今日は、今週末開催の『アートフェア東京』について書きます。「アートフェアって?アートフェア東京って???」という方は、まずはこちらのブログをお読みください。お得なチケット情報も載せています!

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理系で金融出身、細マッチョなディレクターの話を聞いてきました

アートフェア東京2019を10倍楽しむ『お金』の話

お話を聞いた日の2日後、東京マラソンに参加予定という北島さん

先日、アートフェア東京のマネージング・ディレクターをしている北島輝一さんのセミナーに参加してきました。北島さん、まずその経歴が面白いんです。慶應大学の理工学部を出ていて、ソニーCSLでプロコトルの研究をしていたのに、野村證券に入る。そこから金融の世界を渡り歩き、ひょんなことからアートフェア東京のディレクターになった人です。

さらに少しだけ生い立ちを聞くと、お祖父様は油絵画家をしていて、売れずに貧しい生活を送っていたそうです。その反動で、息子である北島さんのお父様は医者になり成功。ただしアートの話題は家庭内ではタブー視されていたため、アートとは無縁の人生を送っていたそうです。それが今や日本のアートマーケットを牽引する存在になっているなんて、ちょっと運命的なものを感じますね。

そんな北島さんが語るのは『アートの価値と未来』でした。とっても濃い内容だったので、全ては書ききれませんが、私が面白いと感じたことをいくつかピックアップしてご紹介します。

アートは世界最古の『仮想通貨』である?!

北島さんから見ると、『アートマーケット』と『金融マーケット』はとても似ているそうです。『アート=視覚芸術』は形があるため交換が可能。交換が可能ということは資産性を持っていることになる。不動産などに比べて売買しやすいので、より金融商品(株式など)に近い性質を持っているとおっしゃっていました。作品の価格が上がったり(下がったり)する点も、似ていますよね。

さらに、通過という国家が発行している(=国家に縛られている)ものに比べて、アートは国家や民族・土地などに縛られない。今の仮想通貨がまさに国家に縛られない通過であることを考えると『アート=世界最古の仮想通貨』と言えるのではないか、と。

こういう大胆な例え話がすごく面白い。そして余計なものをどんどん削ぎ落として残る『アートの本質とは?』を考え抜こうとする姿勢には、哲学的なものを感じました。

アートも『神の見えざる手』に従うべき?!

続いて白熱したのがアートマーケットについてのお話。今まで色々なアート関係者のお話を聞いてきましたが、アートのマーケット的な側面を語れる人というのは、北島さん以外いない!のでは、と思うほど納得感の高いお話でした。

アートの価値(=価格)は誰が決めるのか?という、すごく難しいと思えるような問題に対し、それは「マーケットが決める」というのが北島さんの答えでした。マーケットには各個人の利己的な行動の集積が社会全体の利益をもたらすという調整機能=『神の見えざる手』が働いている(アダム・スミス)と言い、価値は個人の中にある、とは言わないのが北島流です。

価値のあるものには価格が伴う(裏を返せば、価格がつかないものに価値はない)という事実をアーティストは受け入れるべきだ、という考えには、もしかするとお祖父様が売れない画家だった影響が少しあるのかもしれませんが、それはわかりません。

このご意見に対して、会場では反論がたくさん出ました。「(アートフェアやオークションに出品されない)売れない作家には価値がないってことですか(怒)」という意見もありましたが、北島さんはアーティストさん個人の価値のことを言っているのではなく、あくまで作品のことを言っているのだと、私には聞こえました。

フローからストックへ、の時代にこそアート?!

続いて、なぜ今世界中でアートの価格が上がったり取引量が増えているのか?についての北島さんの分析をご紹介します。

世の中がどんどん成熟して、フロー(消費)からストック(資産)へと社会の価値観が変化している今、資産性があり、国家を超えて簡単に交換ができ、所有していても価値が減らないもの=『アート』に注目が集まっている、というのです。

そしてアートには『希少性』があります。1点ものの場合、それを所有できるのは世界中でたった1人だけ。作品の価値だけでなく、その作品を『所有していることに価値が生まれる』と北島さんは言っていました。つまり、『もの=アート』ではなく『こと=アートを所有すること』に価値を見出し、対価を払っている、と考えることもできそうです。

アートは世界から戦争をなくす

最後に。『アートがなければ世界中が戦争を始める』『アートは世界から戦争をなくす』こんな不思議な話をあなたは信じますか?これは北島さんだけでなく、東京画廊のオーナーである山本豊津さんも言っています。

私がこの言葉を聞いて思い出すのは、織田信長が戦の褒美として領土の代わりに名物の茶碗を与えていたというエピソード。これはまさにアート経営、アート外交だったと思うのです。が、長くなりそうなので詳しくはまた別の機会に書きたいと思います。

 
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