中古マンション購入を機に、好きなインテリアに入れ替えたい!というご依頼を受け、リビング・ダイニング・キッチン、リビングと引き戸でつながるお子さんの勉強部屋、寝室と書斎、玄関をトータルにコーディネートしました。クライアントはご夫婦と中学生のお子さんの3人家族。デザインはほぼお任せいただた一方で、建物の制約でどうしても変えられないけれど気になる部分(例えば窓ガラスやサッシの色、エアコンの位置等)をなんとかしたい、というご要望がありました。
コンセプトは『Huddle Up, Team!』 とても仲の良い3人が、毎日笑顔で楽しく過ごすのにぴったりな空間をデザインしました。ポイントは3点。1つ目はリビングにソファを置かず、パーソナルチェアを3脚置きました。2つ目は、色や柄で楽しさを演出するカラースキーム。3つ目は、オリジナルデザインだからこそできる問題解決。カップボードや窓周りなどをオーダーメイドすることで、デザインもライフスタイルも希望通りの空間が出来上がりました。
ソファを置かないリビング
クライアントご家族のリビング・ダイニングでの過ごし方を伺うと、ダイニングで食事をしたあと、リビングに移動して団らん。この時テレビはつけずにおしゃべりを楽しんでいる、ということでした。当初はソファを置きたいと言われましたが、LDKの形の関係上、ソファはテレビに向かって平行に置くしかなくダイニングに背を向ける形になります。更にベランダや子供部屋への動線も窮屈になるので、置くならコンパクトなものになることを説明しつつ、ソファを置かない案をご提案しました。
というのも、このようなレイアウトでソファを置いた場合、家族がお互いに背を向けて座る形になりやすく、団らんしづらくなってしまうのです。パーソナルチェアにすれば移動が簡単でレイアウトの自由度が高く、座り心地も良いことをご説明し、ソファを置かないレイアウトでプランをご用意したところ、大変気に入っていただけました。また、ダイニングテーブルを大きめにしたことで、ダイニングテーブルで過ごす時間も長くなったそうです。
壁紙とカーテンに柄を入れて、楽しい空間に
カラースキームを含むデザインはすべてお任せいただきました。Class Sの過去のプロジェクトでナチュラルなインテリアを気に入っていただけていたので、その方向性は合意を取り、細かな部分はご家族の自然体で飾らない雰囲気をイメージしてセレクトしました。今年ミラノで見てきたトレンドカラーであるテラコッタオレンジを取り入れて、合わせるグリーンは幅をもたせることにしました。シェードには甘くなりすぎない柄を選び、プリントではなく刺繍で仕上げた生地にすることで上質感もプラスしています。
納品後、ご主人から「自分では絶対に選ばない色や柄で不安もあったが、ここで口出しするとプロに頼んだ意味がないと思いすべてお任せした。結果とても気に入っている!」という嬉しいコメントをいただいました。不安に感じられていたとは気づかず・・・信じてお任せいただけてとても光栄です。
デザイン・機能の両面で、収納家具選びが重要
クライアントさんは持ち物の少ないご家族で、マンションに元からある収納スペースで十分足りることから、収納に関するご要望はほとんどありませんでした。ですが、実はこれ落とし穴なんです。マンションの収納スペースは大きなものや使用頻度の低いものを入れることを考えて作られていることがほとんどです。使用頻度の高いものを離れた場所に置くと、片付けが面倒になって部屋が散らかる原因になります。また、入れたいものの形や大きさに合わない収納は無駄が多くなりがちです。これらのことを説明し、リビングには小物を入れるキャビネットを置くことになりました。
カップボードは造作するのと市販のものを置くのでは金額が大きく変わるので、どちらにするか悩ましいところだと思います。わたしの方針として、カップボードがリビングのインテリアに大きく関わる場合と、入れたいものが特殊な場合は造作をおすすめしています。今回はカップボードも重要なインテリアの一部だったことと、色を指定すると納期が間に合わなくなるので、オリジナルデザインで制作しました。ゴミ箱が2つ入っているので、キッチン全体がスッキリするのも嬉しいですね。
各個室や玄関もコーディネート
今回はLDKに加えて3つのお部屋と玄関のコーディネートも行いました。丸ごとご依頼いただくと、家全体でコンセプトを立ててデザインに統一感を持たせられるだけでなく、長期的目線でお部屋の使い方の変化を考慮してアイテムを選ぶことが出来ます。また、一緒に行える工事があれば、1箇所あたりの施工費や関連費が抑えられることもあるので、メリットを感じていただきやすいと思います。
玄関には大橋 澪さんの作品を飾りました。彼女にしては珍しい元気な黄色が印象的な作品です。玄関にアートを効果的に飾ることで、出かけるときも帰ってきたときも、ゲストを迎える時も楽しい気分になれますよ。
お引越し後しばらく経ってから撮影でお伺いすると「家が心地良すぎて、外に出て気分転換する必要がなくなった。」と、とても嬉しい言葉をいただきました。デザインだけでなく、パーソナルチェアのある暮らしも気に入っていただけました ^ ^