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こんにちは、インテリアコーディネーターの住吉さやかです。今日はあんまり楽しくないけど、目をそらせない話題「物価上昇影響」について書きたいと思います。※写真は先日完成したS様邸のものです。
世の中のいろいろなものが値上げされる中、インテリアに関わる商材も例外ではありません。原油高、円安、半導体不足、ウッドショックなどなど、価格アップは避けて通れない道です。例えば、国内生産の家具で、木材は輸入のものがほとんど。国産材を使っていても、工場で使う燃料の価格や、輸送コストには大きな影響が出ているとか。今後価格が下がるとは考えにくく、今言えることは「欲しいものがあれば早めに買っておこう!」ということくらいでしょうか。
そんな今、インテリアの予算の立て方も難しくなっていると思います。私の感覚、なのですが「とりあえず100万円あれば、それなりの事ができるだろう」と思っている人ってかなり多い印象です。確かに、100万円と言ったら大金です。でも、昔の100万円と今の100万円では、価値が変わってきてしまっていることも事実です。
ひとつは消費税。5%の頃は100万円あれば税抜95.2万円分の買い物が出来ました。それが8%になると、92.6万円のものしか買えません。さらに10%の今、90.9万円のものを買って、税込み100万円です。消費税が5%だった9年前に比べて、4.3万円分も少なくなっているのです。そして今の物価上場で物の値段が10年前の約1.2倍になっていると試算すると、90.9÷1.2=75.75万円。10年前に比べると、100万円の価値が約20万円も下がっちゃっているのです。
数字で見ると、リアル過ぎて震えます。
インテリアに限って言うと、物の値段は上がっているけれど、安くてそれなりに使えるものも増えました。8万円くらいだった椅子は10万円位になってしまいましたが、1〜2万円で買えるものの選択肢も増えました。新生活を始めるに当たり、とにかく費用を抑えてちゃんとした生活空間を整えたい、というニーズなどにはピッタリだと思います。でももし、今後もどんどん物価が上昇したり消費税が上がっていくのなら、今ちゃんとした良いものを買って長く使うという選択肢もオススメしたいと思います。
例えば、10万円の椅子を10年使えば1万円/年、20年使えば5,000円/年です。良い家具はそのくらい長く使えます。安い椅子がすぐに壊れるとは思いませんが、メーカー保証はだいたい1年程度に設定されているものが多い印象です。しかも、高い家具でも安い家具でも、処分費は同じ。数年経って処分費を払って新しい家具に買い換える時、今と同じ金額で買える保証はありません。
もし「とりあえず100万円あれば良い家具が買えるだろう」と思っている場合は、気になるブランドのHP等を見て、個別の価格を足し算してみてください。最近は各社オンラインショップ機能が充実しているので、簡単に試算出来ます。プロに頼む場合も自分で揃える場合も、最初に相場観を持っておくと、その後の優先順位付けがスムーズに進むはずです。
正直、今回勇気を振り絞って、この内容を不特定多数の方に向けて発信しています。私自身、生活者としてコスパを気にしながら普通の暮らしをしているし、インテリアコーディネーターに対して敷居の高さを感じてほしくないという思いも強く、これまでは『予算の低い人お断り』っぽく感じられる可能性のある話題は避けていました。ですが、最近リピーターのお客様が増え、コーディネートした空間・家具に愛着を持って暮らしていただいている様子を拝見していると、その方の価値観やライフスタイルに合う提案をするために、適正な予算を設けていただくことの重要性をより強く感じるようになりました。
瞬間的な完成度を求めるのであれば、コスパをとことん追求したコーディネートは可能です。それも一つの『腕の見せドコロ』で、面白さもあります。Class S としては、クライアントの求めるものがそういった瞬間風速的なものなのか、今後10年、20年と気持ちよく過ごす時間なのか、しっかりヒアリングして提案をしていきたいと考えています。
物価が急に変動しているこのタイミングに、インテリアのお金の話をしてみました。