こんにちは、インテリアコーディネーターの住吉です。先日、お客様と造作家具の打合せをしました。突板の色をどうするかを、じっくり検討して頂きました。用意した見本よりももう少し濃くしたい、ということで、ご希望の濃さを探って行きます。造作家具は形だけでなく、仕上げもオーダーメイドなので、木目の出方や微妙な色の違いにまでこだわることができるんですね〜。
造作家具は先輩コーディネーターのみなさんが、その良さを存分に語っています。住まい手と空間に合わせてぴったりになるようにデザインしてつくり込むので、お客様は必ず大満足!と思いきや…
イメージと違うと言われて返品された過去
造作家具は注文住宅と同じように、まだこの世にないものをデザインして、ご説明を重ね、了解をいただいてから作るものです。図面はありますが、てっきりこうだと思っていたのに違っていた!ということが起こる可能性もあります。それが、期待を上回る違いであればまったく問題はありませんが、期待を下回る結果になってしまった場合、納得していただけない場合もあります。
以前、私の経験が足りずに、お客様のご期待に添えないものを納品してしまったことがあります。私としては、十分にご説明しお客様の意思を確認しながら進めたつもりでしたが、結果としてその造作家具は返品されてしまいました。お客様への申し訳ない気持ちと無力感で、ずいぶん落ち込みました。
自分はどこまで理解できていたのか?
直後は、どうすればご満足いただけたのか、どこが良くなかったのかがわからず混乱してしまいましたが、今では「私が造作家具の完成形を細部まで理解できていなかったのが原因だ」と思っています。例えば、扉が開閉する動きのイメージだったり、ガラス越しに見える内部の棚板のツヤ感だったり、どんな蝶番がつくのか、どんなダボ穴が空くのか、その間隔は?など、細部まで図面を読み解き、わからないものは確認するという当事者意識が、私には欠けていたのだと思います。
「神は細部に宿る」細部にまで意識を向けられなかったことが、お客様にご満足いただけなかった最大の要因であると思い至りました。
それでも造作家具を提案したい
造作家具の難しさを思い知った私ですが、それでも造作家具を提案し続けました。壁面いっぱいにお気に入りのコレクションを並べたい、リビングの見せ場となる飾り棚を作りたい、お手持ちのAV機器をぴったり収めたい、お部屋の収納に入りきらない掃除機が入るテレビボードが欲しい、などなど、その方だからこそのご要望にお答えできるのは、やはり造作家具しかありません。
そして以前の失敗から学び、図面の読み込みには最新の注意を払っています。家具屋さんの作ってくれる図面にコピックで着色をしながら、完成形をイメージしていきます。部分のサイズもコンベックスを使って原寸で確認し、面材サンプルでイメージがつかめない時には、施工例などを見せてもらいながら実際の色や木目の出方を確認するようにしています。
冒頭に書いたお客様は、面材と床の色のバランスがこだわりのポイントでした。お客様のご要望の中でも、一番こだわっている部分をしっかりと感じ取り、イメージ通りのもの、期待を上回るものを納品できるように、造作家具を極めていきたいと思います。
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