アートのある暮らし

瀬戸内アート巡り<広島編>

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夏休みのアート旅行第二弾。本州に戻ってきて、広島県福山市に去年オープンした『神勝寺 寺と庭のミュージアム』をレポートします。今をトキメク名和晃平さんのインスタレーションが見られる大注目スポットです。

なぜここで?トップクリエーターのコラボレーション

神勝寺は広島県福山市の山の中にあります。広島空港からタクシーで約1時間、もしくはJR福山駅からならタクシーで約30分。周りには特に何もない場所に、突然トップクリエーターが名を連ねるアートスポットが現れました。建築家・建築史家の藤森 照信氏、彫刻家として世界的に高い評価を得ている名和晃平氏、ランドスケープを担当するのは売れっ子プラントハンターの西畠清順氏、と豪華メンバー。神勝寺には何があるのか???行く直前まで(着いてからも)期待と不安が入り混じります。

藤森 照信
1946年生まれ
日本の建築史家、建築家(工学博士)。東京大学名誉教授、東北芸術工科大学客員教授。東京都江戸東京博物館館長。絵本の世界のようなユニークで実験的なデザインが特徴。
神勝寺の寺務所「松堂」を設計

名和 晃平
1975年生まれ
日本の現代美術家。京都造形芸術大学大学院特任准教授。ガラスビーズでおおわれた鹿の剥製PixCellシリーズが有名。
神勝寺の境内に建つアートパビリオン「洸庭」は、彼がディレクターを務めるSANDWICHの設計。内部空間にて波に反射する光を体験する新作インスタレーションを発表

西畠  清順
1980年生まれ
プラントハンター、そら植物園代表。
幕末より150年続く花と植木の卸問屋の五代目。日本全国・世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。日々集める植物素材で、国内はもとより海外からの依頼も含め年間2000件もの案件に応えている。
神勝寺のランドスケープを監修

地元の方の話では、お寺は昔からそこにあったとのこと。神勝寺のHPにも昭和40年(1965)開基神原秀夫氏が禅師を開山に招請して建立、とあります。この神原秀夫氏は地元の有力企業である常石造船株式会社の二代目社長を務めた人で、この禅と庭のミュージアムはツネイシグループの観光産業の一環のようですね。アートに目をつけるとは、お目が高い!そして不利な立地条件を少しでも緩和するために、トップクリエーターを集めたんだと推測します。

補足。ツネイシグループはホテル業でも成功しており、瀬戸内を代表するリゾートホテル『ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道』も経営しています。こちらのホテルに宿泊したので、また後日レポートします。

広大な敷地内をマイペースに楽しむ

神勝寺はかなり広い敷地内に見所が点在しています。入り口近くに面白そうなものが集中していますが、一番奥の本堂まで行って欲しい!途中にソフトクリームが売っていたり、茶室があったり、うどんが食べられたりと休憩スポットが多数あるので、のんびり散策しましょう。一見普通の日本庭園も、西畠氏が選んだであろう個性的な植物たちにたくさん出会えるので、鑑賞していて飽きません。

本堂まで行くべき理由は、国内有数の白隠コレクションが見られる「荘厳堂」です。神勝寺では、白隠禅師の禅画・墨跡およそ200点を所有し、随時展示替えを行いながら展示しています。禅画は見ただけで理解するのは難しいですが、それでも見ているだけでエネルギーをもらえる気がしました。

総門は普通のお寺と同じなので、本当にここで大丈夫?という不安がよぎる

入ってすぐ藤森氏の設計した寺務所が目に飛び込んでくる。自然っぽいのにこの異様感がすごい。

奥の本堂まで行く間は日本庭園が楽しめる。植物たちはどれも個性的で主張が激しい!

光と波を計算しつくした美しいZENインスタレーション

では、メインの名和氏のインスタレーションをレポートします。インスタレーションは時間ごとの入れ替え制なので、入り口でしばし待ちましょう。そこで簡単な説明を受けてから中に入るのですが、正直この時点では建物内で何が起こるのか全く知らされていないので(まだネットなんかにも全く詳細が載っていない)説明されてもいまいちピンときませんでしたが、どうやら中はとっても暗いようです。

いよいよ、建物の短手に小さく開いた狭い入り口から中に入ると、中は予想通り暗くて、建物の大きさから考えて予想外に狭い空間です。ベンチがあるので適当に自分の場所を確保して座ると光がなくなり、インスタレーションが始まりました。真っ暗闇の中、はじめは目の錯覚かと思うくらいの弱い光が現れます。暗すぎて、空間の広さが全く認識出来ないのですが、奥の方で徐々に強まる光が波に反射して、いろいろな形を見せてくれます。これが本当に波と光だけで作られているのか?と思うくらい、とっても美しいかったです。波の金属のようなテクスチャーが特に印象に残りました。

光の強さやリズムが変化しながら約30分かけてインスタレーションが行われ、最後は少し明るくなって終了。音も少しだけ聞こえましたが、全体的にとても静かで刺激も少なく、瞑想的でした。睡眠不足で行くと寝ちゃうかも…?

光は自然光なのかな?だとすると、見る季節や時間で表情が変わったりするかも?と思い、建物の外観を調べましたが、どうやら自然光ではなさそうでした。確かに小さいけれど強い光もあったな。とすると、水もただの水ではなく、粘度をベストな状態に調整している可能性もあるな、など、どうやって作っているか?に興味が湧いてしまうのがリケジョのさが。残念ながら見終わった後のネタバラシは一切無しでした。あぁ、気になる。

インスタレーションは途中退室OKだったので、途中で何組かの人が出て行きました。気になったのは、せっかくの暗闇インスタレーションなのに、人が出入りするたびに光が入ってしまうこと。全体的に刺激が少ないだけに、その一瞬、しらけた感じになるのが残念でした。

「洸庭」は巨大な建造物。船のようであり、お堂のようでもある。

マテリアルのアップ。木のチップで覆われている。

下にはベンチがあって休憩も可能。奥の小山の中にコーヒースタンドもある。

上の写真のベンチから見える景色。プラントハンターの仕業。

ミュージアムロゴはインスタレーションに関係するデザインだった!

行ってみるまで謎だらけだった神勝寺 禅と庭のミュージアム。実際に体験してみてようやく理解出来ました。まさに百聞は一見にしかず。今は7月の3連休でも訪れる人はそれほど多くありませんでしたが、今後急に増える可能性もあると思うので、気になっている方はお早めにどうぞ。今度は冬、お風呂に入りに行きたいと思います。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事を気に入っていただけましたら、ワンクリックで応援お願いします。
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