東京の個人向けインテリアコーディネーター、Class S interior designの住吉さやかです。今年8月に施工し、9月に受注生産の家具が入って完成したプロジェクトの写真をアップしました。お問い合わせから申し込み、プレゼンから発注までスピーディに進んだプロジェクトでした。今日はこのプロジェクトを例に、Class Sのプラン作成プロセスをご紹介します。プランの詳細説明は以下のプロジェクトページもご覧ください。
プランニングは右脳と左脳をフル活用
インテリアコーディネーターがプランを考える時、主に “見た目” を作っていると思われがちですが、それは仕事の半分だとわたしは思っています。どういう種類の家具をどう配置するか、適切な大きさや余白を考えるのはロジカルな作業。ある程度の規則があるので、クライアントのライフスタイルと空間や予算などの制限と折り合いをつける左脳の仕事が半分。機能面や耐久性、メンテナンス方法などがニーズに合っているかどうかもロジカルに検討します。
次に色や柄、フォルム、質感、その組み合わせて見た目を含む印象をデザインするのが感覚的な残り半分の作業。これらにも規則性はありますが、規則を言語化してそれに沿って進めすぎると“ありがち”になってしまう危険性がある気がします。右脳の感覚的な部分を自由に働かせて考えると、最初左脳で考えたよりも良いアイデアが浮かんで来る気がします♪
糖分・水分必須のカラースキーム検討
カラースキームはできる限りショールームで現物を見て選ぶようにしています。今回、デザインはほぼお任せだったので脳内であまりイメージを作り込まず、ショールームに行きました。今回は品川にあるサンゲツのショールームで壁紙とファブリックを同時にセレクト。LDKと寝室2部屋のカーテン(6窓)とクッション、ベッドスプレッド等を選ぶとなると、3時間以上かかります。言語的思考をするよりも脳がフル稼働するのか、ものすごく糖分を消費する!そして喉がカラカラになります(ショールームが乾燥している?)
わたしの提案スタイルはベストな1案を提示する形なので、クロスやカーテンのショールームでクライアントさんと打ち合わせをすることは基本的にありません。サンプル帳も見せません。ベストな一案の他にいくつか別案を持っていくことはありますが、最初の案を気に入ってもらえた場合別案も出しません。別案全て、好みを外していた場合はもう一度選び直して提案します。
たまにショールームに行くと、施主のみでウンウン言いながら白いクロスを選んでいる光景を目にします。気になる・・・床の色は?決まってるなら床材のサンプル持ってきたらすぐ決まるかも・・・床決まってないなら壁はまだ早いよ・・・と、迷ってるポイントを聞いてアドバイスしたい衝動に駆られます。もしコーディネーターがいない会社で家を建てたりリフォームをするなら、個人向けのインテリアコーディネーターに相談すると、時間が節約できるし安心して内装を選ぶことができると思います。
余談ですが、ショールームで商品選びをしているとエンドユーザーさんにスタッフと間違って声をかけられることがしばしば。ショールームスタッフは制服を着ているのに、なぜ私服のわたしに?と、最初はびっくりしましたが、最近は慣れっこです。仕事モード感がにじみ出ているんだろうか・・・(汗
ショールームに行きやすいって最高
カップボードは耐久性の高いメラミン仕上げとしました。アイカのショールームで木目の特徴を確認しながら候補を絞り、サンプルを現場に持っていって床や壁との調和を確認します。最近はショールームの予約上限人数が緩和され、思い立ったらすぐにショールームに行けるのでとても助かります。東京はショールームの数も多くて場所もある程度集中しているので “はしご” しやすくて、ほんとに恵まれているなぁ ^ ^
憑依型コーディネーターです
プレゼンには、提案書と見積明細書とサンプルを持っていきます。Class Sの提案の特徴は、ベストな1案を作ることの他に『コンセプトのある提案』があり、わたしが一番大切にしている部分です。コンセプトって平たく言うと『〇〇な暮らしのためのインテリア』の〇〇の部分のこと。もっと単純化すると『どんな気分で過ごしたいか』だと考えています。例えば、家でリラックスしたい人、リフレッシュしたい人、趣味を満喫したい人では〇〇の部分が違うので、仮に同じ部屋でも提案内容が変わります。選ぶ家具、色や柄も変わります。コンセプトの時点でクライアントのニーズとズレてしまうと大変なので、話をよく聞いて、わからないところは質問し、クライアントに憑依してコンセプトを考えています!
そしてインテリアを考える時に一番気になるであろうスタイル(テイストという場合もありますが、Class Sではスタイルという言葉を使っています。スクールではインテリアイメージという言葉が使われます)は、実はあまり重視していません。今はミックススタイルが主流であることと、同じ言葉を使っていてもイメージするものが人によって違うので、個人向けのインテリアコーディネートの場合、スタイルに関してあえて言葉で合意を取らないようにしています。
ではどうやってコンセンサスを取るのか?まず要件定義の段階では、クライアントさんに好きなインテリア写真を集めてもらい、それをもとに要素を抽出する手法を取っています。そして提案時は完成イメージの絵を見てもらうことで、良し悪しを検討してもらっています。
今回、レースカーテンが一部変更になっただけで、4部屋分ほぼほぼ一発OKをいただきました!気に入っていただけて本当に嬉しく思います。クライアントのコメントやレビューはプロジェクトページに載せています。Houzzにもこれまで通りアップしています。
HPをリニューアルして初めてのプロジェクト完成報告だったので、長文になってしまいました。今後は過去プロジェクトも随時アップしていきます!