こんにちは。 東京で個人向けにインテリアコーディネートをご提案している、Class S interior designの住吉さやかです。来る7月30日(水)、毎年恒例の『アートライフスタイリスト2級講座』を開催します。今日のブログでは、私がなぜ「アートライフスタイリスト」を学ぶに至ったのか、そのきっかけとなった経験についてお話ししたいと思います。
思ってたのと違った…こだわりの家が「殺風景」だった理由
私はインテリアスクール卒業後、大手ハウスメーカーに就職しました。 入社の決め手は「モデルハウスがものすごく素敵だったから!」という、とても純粋な動機です。こんな素敵な家を作る一員として働けることに、胸を躍らせていました。
そして、私が担当し、情熱を注いでコーディネートしたお家が完成しました。ウィリアム・モリスのカーテン、かわいいペンダントライト、こだわりのチェリーの床材。クライアントさんには高級なダイニングセットもご購入いただきました。
なのに…出来上がった空間は、なんとなく殺風景で、一言で言えば『イマイチ』な空間だったのです。
「どうして?何が良くなかったのだろう?」 私は混乱しました。しかし後日、お引越しを終えたクライアントさんからランチにお招きいただき、その答えを知ることになったのです。
クライアントさんの暮らしが教えてくれた「本当の完成形」
お引越し後のご自宅に伺うと、そこには驚くほど素敵な空間が広がっていました。 センスの良い小物が随所に置かれ、住む人の個性が感じられる、温かみのある空間に変わっていたのです。
新居の住み心地の良さや、きれいを保つ工夫などをお聞きし、私は改めて気づかされました。 「私の仕事は、人が心地よく住む空間を作ることなのだ」と。
ありがたいことに、その後も多くのクライアントさんのご自宅にお招きいただく中で、私はある確信を得ることになります。
「アートが不可欠」だと気づいた、クライアントさんとの対話
それは、当たり前のようですが『空間は人が住んで初めて完成する』ということ。 そして「人が住んでいて素敵な空間」、つまり、ある程度の生活感が心地よい空間にはアートが不可欠だ、ということでした。
こだわりの内装はもちろん素敵です。しかし、そこに一枚の絵があることで、空間は住む人の個性や知性を語り始めます。アートは季節やライフステージに合わせて掛け替えも簡単で、暮らしをより深く楽しむことができるのだと分かりました。
もちろん、お花や季節の小物を飾ることも生活を豊かにしてくれます。ですが、アートは他のオブジェ類に比べて圧倒的な存在感を放ちます。だからこそ、アートを飾ることを前提として空間作りを行うことが重要だと感じ始めました。
「この絵をかけるなら、カーテンは別のものが良さそう…」 そんな風に、アートが飾られて完成する空間に、インテリアコーディネーターとして関わりたい。そう考えるようになったのです
お客様との会話で冷や汗!アートの知識不足を痛感した日
そこで私は、クライアントさんに「どんなアートを掛けますか?よかったら見せてください!」と、積極的に聞くようにしました。 すると、「住吉さんはアートが好きなんだ」「アートがわかるのね」と喜んでくださり、アートの話題を振ってくれるようになったのです。
しかし、ここで問題が起きました。 「〇〇美術館のホニャララが云々カンヌンで…」というアートの会話に、当時の私は全く話についていけませんでした。アートを軸にコーディネートを考えたい、と思っていただけで、アートに関する知識が全くなかったのです。
知ったかぶりは出来ないので、素直に「知りません、勉強したいのでぜひ教えて下さい」とお伝えしていましたが、これではクライアントさんは安心して私にインテリアを任せることができないかもしれない、と強い危機感を覚えました。
私が「アートライフスタイリスト」を目指した理由
当時の私は気まぐれに美術館に行く程度で、「アートを強みにしたい」とは思うものの、それは「アートのある空間づくりをしたい」という気持ちからでした。だから、「アートの知識はクライアントさんを不安にさせない程度で十分」だと考えていたのです。
目の前の仕事に忙しく、時間をかけて学ぶなんて無理!サクッとポイントを押さえて導入部分を教えてくれるだけで良いんだけどなぁ…と、都合の良いことを真剣に考えていましたね ^ ^;
そんな思いと仕事上の必要性が重なり、出会ったのがアートのある暮らし協会の『アートライフスタイリスト短期養成講座』でした。
しばらく悩んだ末に受講したものの、会社で取り扱えるアートは少なく、結局アートをコーディネートの軸にした仕事はできないまま、私はハウスメーカーを辞めて独立の道を選びます。
独立してまっさらになった時、「私には何ができるだろう?」と考え、出てきたのが手描きパースを使ったトータルコーディネートサービスでした。 家具を決める前に照明や壁紙を決めるのは、建てる側の都合。そうではなく、施主ファーストで、完成イメージから提案する。そして、手描きパースでのプレゼンなら、アートを組み込んだ提案もできるはず!「納品後に『あれ…この壁、殺風景だな』なんて思わせない仕事ができる!」と確信していました。
たった一枚の絵を効果的に。Class Sが提案するアートのある暮らし
独立後、私はすべてのクライアントさんにアートを提案しました。 当初は「いくらなのか想像もつかない」「良し悪しがわからないから、ぼったくられそう」という不安が多かったように感じます。 ですが、アートライフスタイリストの学びで得た知見をもとに、作品の背景や市場の相場感をお伝えしながらご提案することで、クライアントさんにも安心していただけたと思います。
とはいえ、海外の事例のように壁いっぱいにアートを飾るのは、特にご予算的に厳しいのが現実です。 そこで私は、「まずは1枚の絵で、空間を最も素敵に仕上げる方法」を考え、実践してきました。
私の考える「豊かな暮らし」
私個人の価値観として、あまり多くのものを持たず、必要なものが十分にある状態でスッキリ暮らしたい、というものがあります。 たまに「飾りたいものは何も無いけど、なにか飾りたい!花瓶や小物を選んで欲しい」というご依頼もありますが…個人的には、そのへんで買った愛着のないものを並べて、その上に積もったホコリを掃除する時間というのは…少し無駄なように感じてしまうのです(笑)
そんな時、植物や照明も有効ですが、気に入ったアートが1枚あれば空間はガラッと変わります。 作り手の思いが込められたアートは、見ていて飽きることがなく、見るほどに愛着が湧いてくる。情報に溢れた今、みんなが話題にしているものではなく、「自分が本当に気に入って選んだものを家に飾る」。そのプロセス自体が、何にも代えがたい豊かな体験だと感じています。
「絵を買う」という難しさ
しかし、自分だけのアートを見つけるまでには、数多くの壁が立ちはだかります。
- どこを探せば見つかるのか?
- どうやって買えば良いのか?
- 価格は本当に妥当なのか?
- 買ったあと、どうやって飾ればいい?
- 汚れたり、破損したらどうしよう?
- 会社で購入した場合の会計処理は?
…など、わからないことだらけです。 特に、プロとしてクライアントさんの空間と人生を豊かにするアートを提案するなら、こうした知識は不可欠です。
インテリアコーディネーターは、センスで無難なアートを選ぶことはできても、作品の良さや価格の妥当性、それがクライアントの生活にどのような価値を生むのかを、説明できない場合がほとんどです。何しろ、かつての私がそうでしたから。
【7/30(水)東京開催】アートライフスタイリスト2級講座のご案内
アートは、センスだけで提案するものではありません。 基礎的な知識があることで、もっとスムーズに、自信を持って提案できるようになると、私は確信しています。
今回開催するのは、私の人生の方向を決めるほどの学びだった講座の中から、基礎的な部分のみを学べる『2級セミナー』です。 通常のテキストに加え、私自身の経験から得た資料や最新のトピックスも盛り込み、5時間かけてじっくりお伝えします。講座終了後には、表参道・青山の個性あふれるギャラリーをご案内し、学びを「体験」に変えてもらう時間も設けています。
- 開催実績: 13回
- 参加者数: 92名
- 満足度: 4.7 / 5.0 ★★★★☆
時間とお金を使って学びに来てくれる皆さんに、楽しく、そして多くのことを持ち帰っていただけるよう、毎回必ずスライドを見直し、内容をアップデートしています。
今年はおそらく、年1回、このリアル開催のみとなる予定です。 ご興味のある方は、ぜひこの機会にご参加をご検討ください。
詳細は以下のリンクからご確認いただけます。 講座でお会いできるのを、楽しみにしています。
[アートライフスタイリスト2級講座 詳細・お申し込みはこちら]
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










