こんばんは。一生もののダイニングテーブルを探す第三回目は、メンテナンス性を中心に考えてまいります。ダイニングテーブルの一番の用途はやはり食事。食事をすると液体(シミになりやすい醤油やソース、ジュースや赤ワインなど)をこぼすリスクが高まります。熱ものを置くこともありますね。食卓を囲む際の雰囲気(厳粛か、カジュアルか)や掃除にかけられる手間と時間など、家族の生活スタイルにあった素材や仕上げ方法を選ぶと、毎日の生活がより快適になります。
お手入れ簡単なウレタン塗装
ウレタン塗装とは、木や石の表面にウレタン樹脂という薄く透明な膜を作る塗装方法です。表面が硬い膜で覆われるので傷がつきにくく、汚れも浸み込みにくく、毎日のお手入れがとっても楽です。
しかし、次にご紹介するオイル仕上げに比べると、仕上がりはテカテカとしていて、素材感を重視する場合には向きません。また、定期的なメンテナンスは不要ですが、裏を返せば自分ではメンテナンスできないということになります。ウレタン樹脂は紫外線で劣化して剥がれてきます。再塗装する場合は、工場に入院させる必要があります。
ウレタン塗装が向いているのは、キッチンとダイニングテーブルがひと続きになっていて、キッチン同様のメンテナンス性が欲しい場合。ダイニングルームは別にあって、ヌックに朝食用の小さいテーブル(テーブルクロスやランチョンマットなどを使わない)を置く場合なども、汚れてもさっと拭けるので便利です。
お手入れしながら大切に使うならオイル仕上げ
前回の記事でご紹介した無垢材の質感の良さや木目の美しさを生かすなら、上記のウレタン塗装ではなくオイル仕上げがおすすめです。オイル仕上げは、木材の表面をオイルでコーティングする方法で、膜を作らないため塗った後の見た目や手触りは木そのもの。天然の質感を重視するなら、迷わずオイル仕上げです。
オイル仕上げは水に弱いので、普段のお手入れは水拭きよりも乾拭きの方が良いとされています。そのため、テーブル自体が汚れないようにテーブルクロスやランチョンマットを使用、コップを置く場合もコースターが必要です。汚れが気になったら、固く絞った布巾で拭いてあげてください。そして、年に1回はオイルを塗ってメンテナンスしてあげましょう。
輪ジミ、怖いですね。しかしオイルフィニッシュの無垢材は、汚れた部分を削って補修できる良さがあります。表面に汚れがついても、ほとんどの場合サンドペーパーで削って修復できますし、硬いものが当たって凹んだ部分も、濡れ布巾を一晩かけておくとふっくらと元に戻ります。普段のお手入れは必要だけど、汚れたり傷ついても自分で補修できるという点は、一生ものを手に入れて長く使いたい場合、とても重要になってくるのではないでしょうか。
汚れやすいけど、さっと拭けるガラス
ガラス天板のダイニングテーブルは、メンテナンス面ではウレタン塗装と同様です。汚れが染み込まず、しっかり水拭きもできます。でも、ガラスって指紋が目立ちますよね。そして、一度ついた傷は修復できないので、傷をつけないような注意は必要です。硬いものを置く時に大きな音がするので、やはり食事の際はランチョンマットを使ってください。
酸とアルカリに注意すれば、お手入れは楽
天然石の天板という選択肢もあります。大理石は古代ギリシャやローマの建築物で用いられてきたように、その重厚感と高級感が特徴です。日本では人工大理石がキッチンのワークトップとして人気ですが、天然大理石がダイニングテーブルの天板に使われているものは数多くはありません。しかし、ここ数年ミラノサローネでは大理石の新作が毎年発表されておりトレンドですので、今後日本でも増えてくると思います。
日々のメンテナンスで気をつけたいのは、レモンやお酢、オレンジジュースなど、酸性のものによる変色です。塗装をしていない場合、メンテナンスには酸もアルカリも使用禁止。普段から固く絞った水拭きで美しさをキープしましょう。お手入れを簡単にするために、木同様ウレタン塗装も可能です。
比べると、どの素材も良い点とそうでない点があることがお分かりいただけたと思います。つまり、使う方のライフスタイルや家族構成、インテリアイメージによって、最適な素材は異なると言えます。メンテナンス性から逆引きで素材を選ぶのではなく、「どの素材・仕上げにも特徴とリスクがある」ということをあらかじめわかった上で、気に入ったものを選んでいただきたいと思っています。傷や汚れは少しの気遣いで回避できますし、一生もののダイニングテーブルを手に入れたら、毎日大切に使って、定期的なメンテナンスも楽しんで行えるのではないでしょうか。
MOTTAINAIというのは世界中で通じる日本語だと言います。気に入ったものを大切に長く使うのは、昔から日本人の得意とすることでした。大量生産、大量消費の時代を経て、今また良いものを長く使う価値観がじわじわと広がっていると感じます。家具ならまずはダイニングテーブルから、一生ものを手に入れてみませんか?この記事が少しでも参考になれば幸いです。
テーブルの話はこれでおしまいです。次回はテーブル周辺のアイテムについて紹介します。本日もお読みいただきありがとうございました。