こんばんは、インテリアコーディネーターの住吉です。昨日、滑り込みで森美術館の『建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの』に行ってきました。並ぶほどではなかったけれど、海外の方も多く、それなりに混雑していました。そして、すっごいボリューム感。『六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展』というだけにかなり気合い入ってました。
いつも森美術館の企画展で感心するのは、その編集力の高さ。今回も、9つのセクションそれぞれが独自の切り口でとても興味深く、かつ建築への理解が深まる内容でした。最近だと、東京国立近代美術館の『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』(2017年7月19日〜10月29日)や、東京ステーションギャラリーの『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』(2018 年3月3日〜5月6日)にも行きましたが、今回が一番鳥肌が立ちました。
マインドマップにまとめてみました
急になに?って感じでごめんなさい。今回、あまりにも内容が膨大だったのでなるべく理解を深めようとマインドマップにしてみました。インテリアの素敵感ゼロで申し訳ないです。
描いてみて意外だったのは、日本人の美学にはZENや侘び寂びのような引き算を繰り返してたどり着く極限と、その真逆で相入れないものを無理矢理に組み合わせて成立させてしまう混沌を愛する気持ち、その両方が混じり合っている、ということ。
待庵は「わび」なのか
おそらく今回一番の見所、国宝《待庵》のレプリカ。待庵は千利休の作と伝えられ、現存する茶室建築としては日本最古の国宝で、ご存知の方も多いと思います。わたしも存在は知っていましたが…実際にレプリカをみて「え、待庵ってこんなヘンテコなデザインだったの???」とびっくり仰天してしまいました。
この写真、ほぼ正面から撮っていて画像の修正も傾きを整えたのみです。まず驚いたのは軒桁(?)が右は四角いのに右は丸…それどころかよく見ると屋根が非対称!線もいちいちバラバラで素材も色もごちゃ混ぜ。しかもですよ、横から見ると窓に棒がかぶっちゃってるんです!
待庵は『「わび」の思想を空間化したもので、日本文化を語る上で欠くことのできない建築の一つ』(森美術館HPより)とのことで、私もずっとそう信じていたのですが、正直「わび」が難しすぎる。
みんな垂木が大好き
こちらも見所のひとつ、丹下健三の自邸を1/3スケールで再現した巨大模型です。この丹下健三さんの自邸は、去年設計図と写真を見て「こんな家に住みたい!」と猛烈に思ったものだったので、模型も見られて幸せです。
そして今回私の中での発見というか、かっこいい建築には『垂木(たるき)』が効果的にデザインされている!ということを確信しました。私が好きな丹下健三さん、そして隈研吾さんの建築をよーく見るとあるんです、垂木が。もしかしたらこんな基本的なこと、常識中の常識なのかもしれませんが、私の中では大発見!大興奮でした。
モジュール=AIだった江戸時代
江戸時代、家の設計は完全にモジュールの規則に従って自動的に決定していた為に、大工さんは設計での創意工夫の余地を無くしてしまい、そのエネルギーは装飾や着彩に向けられていったそうです。大げさな言い方ですが、どんな家にも応用可能なモジュールというシステムがあった為、建築家という職業が存在しなかった、とも言えます。(当時は大工の棟梁が設計をしていた)
私は体系的に建築を学んだわけではないので基本的なこともわかりませんが、アートを感じるように建築を感じるのはとても楽しいです。今回紹介されていた場所で、まだ行ったことのないものや初めて存在を知ったものもたくさんあり、行って見たい場所のリストが一気に増えました。マインドマップに★をつけてみたら、全部で11か所。制覇するのが楽しみです。
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