ちょこっとスタイル研究、二回目もシンプルなインテリアスタイルから選びました。『シェーカースタイル』ってあんまり使わないですが、ナチュラルでシンプルなそのスタイルは、意識しないままいろんな人が取り入れているインテリアスタイルだと言えます。
シェーカー教徒が作ったシンプルで機能的なスタイル
シェーカースタイルの成り立ちはとっても面白く、作ったのはシェーカー教徒の人たちです。シェーカー教はキリスト教プロテスタントの一派のそのまた分派で、今は消滅しています。シェーカー教は18世紀後半にイギリスからアメリカのニューヨークにたった9人で渡り、その後の布教活動で最盛期には6000人もの教団員がいたそうです。コミュニティで暮らし、農作業をしながらの自給自足、質素で規則正しい共同生活を送っていました。シェーカー教徒たちは家具や日用品も手作りしており、特に人気だったシェーカーチェアは外部への販売も行って、教団の収入源にしていました。
『美は有用性に宿る』の精神が現在でも人気
シェーカー教徒の暮らし、作る家具全般に言えることはシンプルで機能的なこと。そこに美しさを感じるという点は、日本の用の美の精神にも通じます。シェーカースタイルにしようと思わなくても、シンプルな暮らしをしていると、自然と似たような形になると思います。しかし、ここはスタイル研究なので、シェーカースタイルの特徴をいくつか挙げたいと思います。
- 扉のデザインはシンプルな框組
- チェアはラダーバックでテープ編み
- フィニアル
- ベグ
ひとつずつ見ていきましょう。まず、建具や収納の扉のデザインをシンプルな框組にすることで、手仕事感を出します。シンプルなスタイルゆえ、細部が重要です。下の2つの画像で見比べてください。上はシェーカースタイル、下2つは違います。
チェアの背のデザインも重要です。シェーカーといえばラダーバック!ラダーバックとははしご状の背もたれのことで、当時のアメリカで広く作られていたデザインでした。その後、ウィンザーチェアの影響を受けたデザインも出てくるのですが、この後ご説明するフィニアルの件も含めると、やはりラダーバックが王道デザインだと言えます。
シンプルで丈夫で、なおかつ軽いというのがシェーカーチェアのコンセプトです。なので座面は木ではなくい草やウールテープで編まれていて、こちらも特徴の一つになります。もう一つ、椅子の背のてっぺんにあるろうそくの炎のような飾り部分をフィニアルといい、シンプルなシェーカーチェアの唯一の装飾なので、こちらも見逃せない特徴です。
最後の特徴は、壁に取り付けられたペグレールとペグです。ペグとは壁に取り付けられたフックのことで、シェーカー教徒たちはここに日用品のほか、椅子まで引っ掛けて空間を有効活用していました。次の画像をご覧ください。これ、日本の長押みたいじゃないですか?部屋中ぐるっと回すと、それがデザインにもなりいろいろ引っ掛けられて便利です。
シェーカースタイルのナチュラルインテリア
シンプルで削ぎ落としながらも明確な様式のあるシェーカースタイル、いかがでしたか?ナチュラルでモダンなインテリアに個性を出すために、少しだけシェーカースタイルを意識してみてはいかがでしょうか?実用的でシンプルであることから外れなけれが、何を持ってきても良いでしょう。そして、可能ならキッチンや建具のデザイン、壁のペグにこだわると、ぐっと完成度が上がります。
いかがでしたか?アメリカで生まれたシェーカースタイルはシンプルでナチュラルなインテリア。同じように見えるシンプルでナチュラルなインテリアも、よーく見るとクラシック寄り、モダン寄りと違いがわかってくるのも面白いです。ちょこっとスタイル研究、これからも頑張ります。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事を気に入っていただけましたら、ワンクリックで応援お願いします。